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高松高等裁判所 昭和56年(ネ)308号 判決

控訴人

甲山ハナ子

右訴訟代理人

林伸豪

枝川哲

川真田正憲

被控訴人

千代田火災海上保険株式会社

右代表者

川村忠男

右訴訟代理人

木村一三

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

1  被控訴人は控訴人に対し金三七一万四二八五円及びこれに対する昭和五四年一〇月一日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

2  控訴人のその余の請求を棄却する。

二  訴訟費用は第一、二審を通じてこれを七分し、その五を控訴人の負担として、その余を被控訴人の負担とする。

事実

第一  申立

(控訴人)

1  原判決を取消す。

2  被控訴人は控訴人に対し金一三〇〇万円及びこれに対する昭和五四年六月一日から支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

(被控訴人)

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

第二  主張

(控訴人の請求原因)

一  控訴人は被控訴人との間に昭和五四年二月一日、被控訴人を保険者として左記の普通火災保険契約を締結した。

保険の目的物 別紙目録記載の本件中古建物

保険金額   金一三〇〇万円

保険期間   一年

二  右建物は昭和五四年六月一日午前二時二〇分頃不審火によつて全焼した。

三  右火災により控訴人は金二〇〇〇万円相当の損害を蒙つた。

控訴人は本件家屋を昭和五二年頃取得し昭和五三年八月頃から昭和五四年一月にかけて、瓦のふきかえから内装の全面的やり直しなど、かなりの資金を投じて改築・大修理を施し、右火災時における本件建物の現存価格は二〇〇〇万円を下らなかつた。

四  控訴人は被控訴人に対し右同日頃必要書類添付のうえ右保険金の支払を請求した。

五  よつて控訴人は被控訴人に対し右保険金合計金一三〇〇万円及びこれに対する右昭和五四年六月一日から完済に至るまで商法所定率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(請求原因に対する被控訴人の認否と抗弁)

一  請求原因一項の事実は認める。但し本件建物の実際の構造は木造モルタル一部トタン張、瓦葺二階建一棟105.6平方メートルであつた。

請求原因二項の事実は認める。

請求原因三項、四項の事実は否認する。本件火災当時における本件建物の時価は五九二万八〇〇〇円相当であつた。

二  控訴人の通知義務違反による被控訴人の免責――抗弁(一)

1 本件保険契約の普通保険約款八条一項には、保険契約の締結後、保険の目的につき他の保険者と火災保険契約その他火災危険を負担する保険契約を締結する場合はあらかじめ書面をもつてその旨を被控訴人に申し出で保険証券に承認の裏書を請求しなければならず、同条二項には、控訴人が右の手続を怠つたときは、被控訴人は右各事実が発生した時から被控訴人が右の承認裏書請求書を受領するまでの間に保険の目的について生じた損害については保険金を支払わない旨、同条三項には、控訴人が本件保険契約締結後、保険の目的につき他の保険者と火災保険契約その他火災危険を負担する保険契約を締結したときは、被控訴人は承認裏書請求書を受領したと否とを問わず本件保険契約を解除することができる旨の規定がある。ところが、控訴人は本件保険契約締結の後、本件保険の目的につき、昭和五四年二月五日に勝浦町農協との間に保険金一五〇〇万円、同月七日に簡易保険加入者協会との間に保険金五六〇万円、同月二一日に東京海上火災保険株式会社との間に保険金一五〇〇万円、同月二三日に安田火災海上保険株式会社との間に保険金一五〇〇万円(価格協定保険)の各火災保険契約を締結しながら被控訴人に対しその旨の申し出で、承認裏書請求をしなかつた。よつて被控訴人は控訴人に対し(一)右約款により本件保険金の支払を拒み、(二)昭和五四年八月二日到達の内容証明郵便をもつて本件保険契約を解除する旨の通知をしたので、被控訴人に保険金支払義務はない。

2 後記控訴人引用の大審院昭和一〇年一二月二日第一民事部判決は、重複保険の告知義務違反を無効とする約款の効力を一応全面的に否定するに等しい解釈をとるものであり、消極的に同約款の適用範囲を限定するものではないから行きすぎである。

仮に右大審院判例が正当としても、本件事案は右判例の事案と異なり、保険者において無効を主張するにつき、公正妥当な事由が存する場合に該当するので、被控訴人に保険金支払義務はない。控訴人の告知義務違反による本件保険契約の無効を主張できる公正妥当な事由は次のとおりである。

(1) 本件建物の時価は五九二万八〇〇〇円相当であり、これを目的として一五〇〇万円の本件保険を付したので、すでに十分な保障があるのに、前記のとおりその後、殆んど時期を同じくして勝浦町農協など四者との間に、多額の重複保険契約を締結したのであるから、その時点で控訴人が通知義務をつくしておれば被控訴人としては被保険者に故意の保険事故の招致等のいわゆる道徳的危険ないし主観的危険を考慮し、場合によつてはその時点すなわち、本件出火事故発生前に約款第八条第三項により保険契約を解除し得たところ、控訴人が右の通知義務をつくさなかつたため、被控訴人は本件出火事故発生前に契約解除をする機会を全く失なわしめられた(乙第一号証の一及び二)。

(2) 被控訴人が、他の保険契約について知ることは、被控訴人が保険者として自己の契約締結後の契約関係の処理を行うについて参考となり、万一、保険事故発生の場合は損害の調査又は責任の有無、範囲の決定を他の保険者と共同して行うことが出来るという利益がある。

しかるに、控訴人は、通知義務をつくさなかつたことは勿論、火災原因捜査の過程においても重複契約の事実を秘匿し、さらに、本件事件につき、東京地裁で被控訴人が移送申立をしたところ、控訴人は、昭和五四年一〇月二六日の時点においても、なおかつ、乙第二号証(申立棄却の理由第四項)のとおり控訴人は、被控訴人以外の会社にこの物件に対する保険契約はないといい、同年一一月一二日の時点(乙第一四号証)でも、他に保険契約はない旨述べていた。

(3) さらに控訴人の夫甲山太郎は右一連の重複保険契約締結の事実を乙第五号証のとおり積極的に行いながら、勝浦町農協以外の重複保険のことを秘匿し(乙第六号証第一二項)また太郎は控訴人と勝浦町農協間の徳島地方裁判所昭和五四年(ワ)第二六九号火災共済金請求事件につき昭和五五年一二月一五日に証人尋問がなされた際、詐欺及び窃盗の容疑で勾留され起訴されていたし、昭和五七年三月三一日太郎に対し、詐欺、窃盗により、懲役三年六月の実刑が言渡され、現在、同人は、高松高等裁判所に控訴し、審理中であるところ、右事件は、「税金を払わずに銀行でお金と領収書をもらつて逃げた」という比較的単純と思われる事案(乙第一八号証の二、一四丁裏)であるにもかかわらず一審の審理に一年数か月を要し、右のように実刑判決がなされたことは、本件と直接的な関係はないが、太郎の本件事件に関与した程度、役割に鑑み同人の人格態度を推しはかる意味で関連性があり、ひいては通知義務違反による支払拒否につき、公正妥当な特段の事情の存在を肯定する上での一要素になり得るものである。

三  仮定抗弁――抗弁(二)

本件保険契約の普通保険約款(乙第一二号証)第一七条は、異時重複保険につき、任意規定たる商法第六三三条と異なる規定をおき、かつ、右条項による取扱いは、実務上も定着している。

すなわち、本件家屋の時価は金五九二万八〇〇〇円、再建築価格は金九四一万一〇〇〇円であるところ、控訴人は本件建物につき、被控訴人及び訴外東京海上火災保険株式会社との間でいずれも、右時価額をこえる普通火災保険契約を、また訴外安田火災海上保険株式会社との間で金一五〇〇万円の価格協定保険をそれぞれ締結していたから(乙第五号証)、もし本件事故につき被控訴人が有責と仮定した場合の具体的分担額は、被控訴人及び東京海上火災保険株式会社がいずれも金二九六万四〇〇〇円、安田火災海上保険株式会社が金三四八万三〇〇〇円(再建築価格マイナス時価額分)合計金九四一万一〇〇〇円となる。

従つて本件事故が、有責であつたと仮定しても、被控訴人が金二九六万四〇〇〇円を超える支払義務を負ういわれはない。

なお、控訴人が重複保険につき仮に、保険者の一人に対する権利の放棄をした場合でも、他の保険者たる被控訴人の権利義務に影響を及ぼさない(商法第六三五条)。

(右抗弁に対する控訴人の認否と反論)

右抗弁(一)(二)を認めない。

一  抗弁(一)について

1 控訴人は本件保険契約締結後に本件建物につき被控訴人主張の勝浦町農協ほか三者間に火災保険契約を締結した(但し、控訴人が夫の甲山太郎に契約締結を委任したのは、本件保険と勝浦町農協との保険契約だけであり、他の保険は太郎が控訴人に無断で契約したものである。)が、商法上、損害保険に関して右の様な重複保険は有効として認められており、ただ保険金の支払いに関して同時重複保険については各保険者の負担額は保険金額の割合に応じて定めることとなり(商法六三二条)又本件の如き異時重複保険については前の保険者から損害を負担していき、それが損害の金額を填補するに足りないとき順次後の保険者の負担となつていくとされている(商法六三三条)から、本件では第一番の保険者である被控訴人がその保険金額を負担すべきものである。

2 保険制度は高度の公益的性格を有し、その原則的な定めは商法の規定に反することを許さず、前記商法六三二条ないし同六三三条は強行規定と解すべきであるから、本件保険契約の普通保険約款第八条の定めは右強行規定に反し無効といわなければならない。

3 仮に、右約款第八条の定めを有効と解してもそれは明らかに商法の規定と異なつた契約内容であるから保険契約者に対し契約締結時に充分周知徹底している場合にのみ特例的に有効とみるべきところ、本件契約締結時には乙第一二号証の約款は控訴人側に全く知らされておらず、同書面の交付すらされていない。もとより口頭でも何等説明はなかつた。このため控訴人は重複保険をした場合、承認裏書請求をしなければ保険金が支払われなくなるなどということは夢にも思つていなかつたから、本件では約款第八条を適用することは許されず、商法第六三三条によつて被控訴人にその損害をてん補する義務があるといわなければならない。

4 さらに、重複保険に関する指導的判例である大審院昭和一〇年一二月二日判決に説示の「保険者においてその無効を主張するにつき公正妥当な事由」が本件には存在しない。その事情は次のとおりである。

(1) 重複保険をかけた事情

控訴人は請求原因三で主張のとおり本件建物に改築・大修理を施し、これを売却するか、あるいは婚期にある娘ツル子(当時二四才)が結婚した場合の新居用に供しようと考えたが、その現実化には一定の期間があり、それにもかかわらず本件家屋は控訴人宅から遠く離れて無人であり、日頃監視することが出来ず、いつ事故が発生するかもわからない不用心の状態であつたため火災保険をかけることを思い立ち被控訴人と本件保険契約を締結したが、この保険は価格協定保険でなく、中古住宅としての現存保障しかなく、万一家屋が焼失し建て直す場合に新築家屋分の補填がないことがわかり、あらためて勝浦町農協共済に加入した。また簡易保険加入者協会の分は乙第一一号証の二「災害見舞制度」の文章でも明らかなように民間の火災保険制度と全く異なる災害見舞金であり、げんに右説明書でも「民間火災保険と二重に加入しても見舞金は減額されません」とあるので、控訴人は保険と関係なきものと考えて加入した。その後の東京海上火災保険と安田火災海上保険の分については控訴人自身はその加入の事実を全く知らず、控訴人の夫太郎が控訴人と相談なく加入したもので、太郎は火災保険の保険料はかけ捨てでそれほど高額なものでなく(全部あわせて二〇万円程度)、万一を考えた場合、多くかけておくにこしたことはない、念のためと思つてかけたもので他意があつてのものではない。

一般に生命保険によく象徴されるように保険契約者の心理として万一の際、出来るだけ心配が無いように、充分に保険をかけておきたいと思うものである。このような心理、心情を一概に道徳危険招致などといつて否定することは誤まりで、本件についての控訴人ないし太郎はまさしく右のような気持で、保険加入を行つたものである。中古住宅である本件建物に五千万ないし六千万円の保険金というのは不当でないかとの議論もあるが、いざ払うときの保険会社の査定はきわめて低額で、実質的損害をつぐなうに足りない場合が多いというのは一般的な認識になつている。げんに本件家屋について被控訴人は六〇〇万円前後の査定を行なつているが直近に大改造を行つた本格建築の本件建物に対する損害としては常識外に低い。控訴人や太郎は保険における右実情をも鑑みて出来るだけ実質的保障を確保しておきたいとの気持から重複して保険に加入したものであつてその法律的当否はともかく、心情的には充分理解出来るものであり、これをもつて放火原因者だとか道徳危険招致だなどという被控訴人の主張は甚々しく不当である。

(2) 被控訴人は控訴人が他に重複して保険加入していることを秘していたように主張するがそれは事実に反する。控訴人は昭和五四年六月末に被控訴人徳島営業所長に対し農協はもとより東京海上、安田火災等にも保険加入していることを述べていることは同年六月二五日付の片山勝重の供述調書(乙第一〇号証の一)においてそのことは明らかである。控訴人や太郎がその後保険契約は他にないなどといつたのは各社が解約してきたため、有効に存在すると思われるのは被控訴人会社のみ(あるいは農協)であるという言い方をしているだけであり、被控訴人の指摘する乙第一四号証(昭和五四年一一月一二日準備書面)末尾で「他の保険会社との関係については現在契約はありませんが」と述べているが、その前に「他社との保険契約については」との記述があることからわかるように前記趣旨で述べていることが明らかである。

(3) 本件建物の前記火災についての消防署の火災原因の推定では放火とされているようであるが、このこと自体必らずしも正確なものとは言い難いうえ、かりに放火であつたとしてもその殆んどがいわゆる精神異常者ないし性格異常者などによるものであることは公知の事実であり、たとえ控訴人や太郎に対しえん恨を抱く者がないからといつて控訴人に関係なきものの他人による放火でないなどとはいえない。

しかるに被控訴人は控訴人が多数の保険契約していたから直ちに本件火災の原因者であるかの如く述べたてるが、容認し難い。げんに控訴人および太郎は本件火災のあつた当日、前夜から本件現場から遠く離れた勝浦郡勝浦町の自宅で寝ていた。このことは家族もいることであるし、また警察から早朝に電話があつた時二人とも就寝しており直ちに太郎が現場へ赴いているのであり、間違いのない事実である。さらに被控訴人のいうように本件保険契約締結が自らの財産をまもるためのものでなく、放火などをして不当に保険金を得ようとしたものなら、わざわざ大改築など行わずに保険に加入しているはずのものである。

なるほど控訴人の夫太郎は刑事事件で起訴されているが、本件とは全く関係ないうえ、それは現在係争中であつて裁判所の最終的判断は下つておらず、これをもつてあたかも本件の火災原因者であるかの如くみるのはきわめて乱暴な議論である。かえつて右刑事事件で太郎は警察に長期間逮捕勾留されていたのであるから、本件について太郎に相当な疑いがありその根拠があるものなら、厳しく追及され、起訴されているはずであるのに、本件について何等問責がないことは、一応疑いはあつてもそれが否定されたからに他ならない。

二  抗弁(二)について

異時重複保険についての商法第六三三条の規定は強行規定であるから、仮に右約款第一七条の定めによる合意があつても、強行規定違反として無効であり、第一番の保険者である被控訴人が保険金全額を支払わねばならない。(控訴人の右主張一3に対する被控訴人の反論)

判例は普通保険約款の拘束力について「当事者双方が特に普通保険約款によらざる旨の意思を表示せずして契約したるときは、反証なき限り、其約款によるの意思を以て契約したるものと推定すべく……仮令契約の当時其約款の内容を知悉せざりしときと雖も、一応之による意思を以て契約したるものと推定するを当然とす」(大審院大正四・一二・二四第一民事部判決)としており、この点の控訴人の主張は理由がない。

第三  〈証拠関係省略〉

理由

一請求原因一、二の事実は当事者間に争いがなく(但し、本件建物の実際の延面積には争いがある。)、本件保険契約成立までの経緯をみると、〈証拠〉を総合すると、次のとおり認められる。

1  本件建物は昭和四年ころ建築された中古住宅(中二階建)で、もと訴外岩城進の所有であつたが、控訴人の夫太郎(昭和五四年夏まで愛知商事の名称で金融業を営んでいた。)が貸金二〇〇万円と数年間の利息損害金の代物弁済として昭和五二年九月ころ太郎の所有となり、翌五三年一月、太郎から妻の控訴人へ譲渡され、同年八月下旬、岩城が同家屋を退去して以降、翌五四年六月一日午前二時二〇分ころ出火した本件火災により全焼するまで空屋のままで時折控訴人らがみにきていたが、控訴人が、控訴人は本件家屋の管理保存処分一切を夫の太郎に委していた。

2  太郎は昭和五三年九月から翌五四年一月ころまでの間に、大工の佐藤誠、左官の播磨利一に本件建物の修理、改築(一階の一部)を施行させ、その材料は太郎が材木は自己の山林から伐採搬出した桧杉を製材所で賃加工させたものを使い、その他の原材料は建材店で購入した。改造したのは一階東西隅のもと土間四坪を四畳の居間(西側)と玄関(東南隅一坪)、洗面所等(その北隣で一坪)としたほか、洗面所の北隣に浴室(0.5坪)を設けたこと、一階の窓(南側で一間の窓二か所、北側で一間と二間の窓各一個)をアルミサッシの窓としたこと、一階の床板を取り替えたこと、一、二階の壁(土壁)のうち竹小舞を含む下地は旧来のままとし、その外の表面を落として塗り替え、外壁を一階部分はモルタル塗りと一部トタン張り、二階部分は漆喰塗りにしたこと、屋根(日本丸瓦葺)につき瓦一枚ずつその接合部を漆喰塗りにしたことであり、この改造により本件建物の延面積は94.11平方メートル(一階65.59平方メートル、二階28.52平方メートル)になつた。この修理改造費用は判然しないが、大工の日当合計四四〇万円(大工一人の日当一万円ないし一万〇三〇〇円)、左官の日当一三〇万円(一人の日当一万円)、原材料の購入費(太郎の山林から桧杉立木を伐採、賃加工して使つた材木費を市価で評価した経費を含む)が約二五〇万円の合計八二〇万円位を要したと推認される。

3  控訴人の代理人太郎は右修理改造した本件家屋を売る心算であつたが、早急には売れる見通しがつかなかつたため、昭和五四年二月一日、被控訴人の代理店、訴外片山勝重を通じて、被控訴人との間に本件普通火災保険契約を締結し、その際保険料五万二〇〇〇円を支払つた。この契約では本件建物の延面積は105.6平方メートルとし、一般住居用建物で、空屋であるとして、右保険料がきめられた。代理店の片山勝重及び被控訴人とも本件火災後の昭和五四年六月一三日ころまで、本件家屋を実査したことがなかつた。

4  本件保険契約成立後、間もなく、被控訴人から控訴人へ本件火災保険の保険証券(甲第一号証)が火災保険普通保険約款(その内容は乙第一二号証の普通約款と同一)や損害保険料控除証明書(甲第二号証)とともに郵便で送付された。この保険証券には、被控訴人は本証券に適用される別冊記載の普通保険約款に従い、上記のとおり保険契約を締結する旨、印刷された記載がある。

以上のとおり認められる。〈反証排斥略〉

二抗弁(一)につき検討する。

1 本件保険契約は保険証券に引用表示され、同証券と一緒に被控訴人から控訴人へ送付された火災保険普通保険約款によるものであることは前記一4で認定したとおりであり、成立に争いがない乙第一二号証により、この約款第八条一項一号に、保険契約者又は被保険者は、保険の目的につき、他の保険者と火災保険契約その他火災危険を負担する保険契約を締結する場合は、予め書面で被控訴人へ申し出て、保険証券に承認の裏書を請求しなければならないとの定めがあり、同条二項に、前項の手続を怠つたときは被控訴人は、右重複保険成立の事実が発生した時から承認裏書請求書を受領するまでの間に生じた損害をてん補する責に任じないと定め、三項に、第一項の事実がある場合には、被控訴人は、その事実について承認裏書請求書を受領したと否とを問わず、保険契約を解除することができると定めていることが明らかである。証人甲山太郎は当審で、控訴本人は成立に争いがない乙第一九号証で右約款の定めを知らなかつた趣旨の供述をなし、証人片山勝重は当審及び原本の存在と成立に争いがない乙第一〇号証の一で、本件保険契約の締結にあたり控訴人の代理人太郎に対しパンフレットを渡して保険の概要を説明したが、そのうち重複保険に関しては農協共済保険は本件保険と共同しない旨告げて重複保険に該らない旨を話したにとどまり、右約款第八条の定めについては説明しなかつた旨供述しているところ、この約款が本件保険契約の約定になることは前記保険証券(甲第一号証)及び同証券と一緒に控訴人へ送付された約款書を読めば分ることであるから、たとえ控訴人や太郎が右証券及び約款の記載を読まなかつたとしても、右約款が本件保険の約定内容となつていることを否定できない。控訴人は右約款第八条の定めは、商法第六三二条(同時重複保険)第六三三条(異時重複保険)の規定及びこの種保険制度が高度の公益的性格を有することにかんがみ、右商法の規定と牴触して無効であり、仮に全面的に無効でないとしても、この約定が保険契約者に事前に十分周知されている場合に限り有効であると主張するが、この種の火災保険はいわゆる家計保険で多数の一般人を相手とするものであるが、商法の右規定がそれらと牴触する約款を無効とする強行規定であると解するのは相当でなく、この約款の定めが一般人を相手とする附合約款であるので、公平の見地からその適用の範囲等を制限的に解釈するのが相当で認められる場合があるとしても、右約款第八条が無効とは解されず、また本件では右約款の定めにつき契約締結にあたり告知説明はなかつたが、控訴人において右約款を明記した保険証券と約款書を受領後なんら異議を申出なかつたこと及びこの種家計保険が多数の保険契約の存在を前提とし一定の大数法則にもとづき運営されていることにかんがみ、たとえ控訴人やその代理人の太郎においてこの約款を知らなかつたとしても、約款に拘束されると解するのが相当である。したがつて、控訴人の右見解は採用できない。

2  〈証拠〉を総合すると、被控訴人は控訴人に対し昭和五四年八月二日到着の内容証明郵便で、控訴人が前記東京海上火災保険株式会社及び安田火災海上保険株式会社との重複火災保険契約を締結したのに約款第八条一項の通知義務を怠つたことを理由として同条の定めにもとづき本件火災による保険金支払いの免責を主張し、かつ本件保険契約を解除する旨告知したことが認められ、右通知を欠如したことは控訴人の明らかに争わないところであるから自白したものとみなされる。

3  前記乙第一二号証により、右約款第八条一項一号ないし五号には通知すべき事項が具体的に定められているほか、六号に前各号の場合のほか、危険が著しく増加することを記載されていること、二号ないし五号に定められている通知事項は保険の目的の譲渡や一定規模以上の修繕など火災抑止の態様を含む危険の変更が多かれ少なかれ想定される事項であるのに対比し、一号で定める重複保険が付着しても、それだけでは重複保険の前と後とで、損害抑止などを含め保険の目的の危険状態が変動するものでないことが明らかである。

右のように重複保険の有無は保険における危険測定に直接役立つものでないし、保険契約者のなかには保険者(契約代理者)との交際上の義理や税金上の優遇を得るために重複保険をかける場合もあり得るので、約款第八条一項二号ないし五号に定める事実の通知懈怠がある場合には、同条二項の免責条項が適用され、同条三項による契約解除も許されるとしても、一号の通知義務懈怠の場合をそれらと同一に解するのは相当でなく、保険者において一号の通知を受理していたとすれば危険の増加測定が可能であつた(その場合には、約款第九条で追加保険料の請求ができ、その支払いがなければ免責されるものと認められる。)のに、通知欠如のため危険変動を測定する機会が得られなかつた場合に限り、同条二項の免責の主張と同条三項の契約解除が許されると解するのが相当である。

4  そこで、控訴人の右通知欠如を理由とする約款第八条二、三項の適用の可否につき検討するのに、〈証拠〉を総合すると、控訴人の代理人太郎は昭和五四年二月二一日東京海上火災保険株式会社と同年同月二三日安田火災海上保険株式会社と本件建物につき保険金額を各一五〇〇万円とする火災保険契約(但し、安田火災海上保険株式会社との保険は価格協定の特別約款付火災保険で、保険期間一年、東京海上火災保険株式会社との保険は本件保険と同様な普通火災保険で、保険期間四か月、その保険料二社で合計六万円)を締結したほか、本件建物につき昭和五四年二月五日、勝浦町農協と火災共済契約(共済金額一五〇〇万円、掛金は本件建物内の動産についての共済金五〇〇万円分と合わせて五〇〇〇円)を、同月七日、財団法人簡易保険者協会との間に災害見舞金契約(見舞金五六〇万円、掛金八〇〇〇円)を各締結し、右安田火災海上保険株式会社との保険では同時に本件建物内の動産につき保険金五〇〇万円の火災保険契約(保険料一万一五〇〇円)をかけたこと、右災害見舞金契約は民間の損害保険と重複しても見舞金は減額されないものとされているが、この契約締結にあたり太郎は他に損害保険をかけていない旨不実を告げたこと、太郎は本件保険契約にあたり被控訴人の代理店片山勝重から本件保険と農協共済保険とは重複保険の関係を生じない旨説明されたこと、以上の保険や共済をかけたのは、太郎ないし控訴人が勧誘を受けたり、縁故者等の依頼によるものでなく、太郎からいずれも積極的に保険の申込みをしたものであること、本件火災後、前記訴外の二保険会社から控訴人に各契約解除の通告がなされた(その解除理由は告知ないし通知義務違反でないかと思われるが判然しない)こと、控訴人が本件訴え提起前に勝浦町農協に前記火災共済金請求の訴えを起したが、契約後における通知義務懈怠があつたとして請求棄却の判決が言渡され確定したことが認められる。

控訴本人は乙第一九号証で、前記保険共済等契約のうち、事前に太郎と相談したのは農協共済契約だけで、他の契約は事後に知つた旨供述しているが、そうであつても、控訴人が太郎に本件建物の管理保存処分を一任していたことは前記一1で認定したとおりであるから、本件重複保険の通知が危険測定の資料として有意義であつたか否かの判断に関しては、控訴人が事前に関与せず知らなかつたとしても太郎の処置についても控訴人が責を負うべきものである。

右の認定事実に徴すると、本件当事者間で本件保険と重複する保険は東京海上火災保険株式会社及び安田火災海上保険株式会社との前記二保険契約であるところ、これら三保険の合計保険金額は四三〇〇万円であり、その保険事故にもとづく損害額を遙かに超えるものであるが、その保険料合計は一一万二〇〇〇円であつて、社交儀礼や税金対策等で右程度の保険料なら掛け捨てを覚悟で重複保険をかける場合もあり得ると思われるので、これら重複保険の事実を通告しなかつたことをもつて、直ちに控訴人やその代理人の太郎にいわゆる人格的危険(道徳的危険ないし主観的危険)があると測定するのは相当でない。さらに、前記二保険会社との保険につき控訴人の通告義務違反があつたとすればその義務違反の態様如何によつては、本件保険についての控訴人の人格的危険ないし損害抑止能力の測定につき参酌すべき事情とみられる場合があるとしても、右二保険会社からなされた契約解除通告の理由は判然しないし、商法も重複保険の存在を予定していること、このような重複保険制度を採用している保険業界において、重複保険の通知を受けた場合、その重複保険者から重複保険の告知内容等につき開示が得られるような協力態勢が整備されているなら、重複保険の通知義務は危険測定上も意味をもつものとなり、その重複保険で保険契約者が告知している内容等を検討することによつて、被保険者や保険契約者の人格的危険の有無程度を測定できる場合もあると思われるが、このような調査測定に関する協力態勢がない現状では、たとえ控訴人の右通知が行われていたとしても、被控訴人において重複保険者からの協力開示等により控訴人の人格的危険を調査測定することができたとみることは困難であるといわなければならない。なお、〈証拠〉を総合すると、捜査当局は本件建物の前記火災直後実施した現場の見分により、その出火場所と出火原因等から右火災を放火でないかとみて捜査中であり、その放火の動機を保険金詐欺ではないかとしてその面の捜査も行つていること、控訴人の夫太郎は昭和五四年六月二九日、右放火事件捜査係りの警察官に対し、本件建物の火災保険は勝浦町農協を保険者とする保険金一〇〇〇万円、保険料一一万円があるだけで、他に火災保険をかけてない旨供述したこと、その後の同年一〇月末日、太郎は窃盗、詐欺容疑で逮捕され、身柄拘束のまま起訴され、一審で実刑判決を受け、当審口頭弁論終結時には控訴中であるが、右刑事事件は本件建物の保険とは関係がない事案であることが認められるところ、太郎が警察官からの事情聴取に対し、本件保険を含む勝浦町農協以外の保険等を隠し、農協の保険金額も一〇〇〇万円と不実の供述をしていることなどに徴すると、太郎が右放火に関与しているのではないかと疑う余地なしとしないが、その疑いは一応のものであり、太郎の右放火関与を裏付ける証拠はないので、右の諸事情は本件保険の危険測定につきさしたる意味を有しないとみざるを得ない。

他に、本件全証拠を検討しても、控訴人の右二会社との重複保険を被控訴人に通知しなかつたことが本件保険につき危険の増加であることを肯認できる証拠及び右通知欠如により被控訴人において通知があればできた筈の危険測定ができなかつたことを認めるべき証拠はないので、控訴人の右重複保険についての通知欠如により約款第八条二項の免責があるとする被控訴人の主張は採用できないし、同条三項にもとづく被控訴人の前記契約解除の通告は無効であるといわなければならない。

5  したがつて、この抗弁は理由がない。

三抗弁(二)につき判断する。

1  〈証拠〉を総合すると、本件保険につき火災保険普通保険約款第一七条で異時の重複保険の場合でも、一定の算定方式により重複保険者と損害を分担しててん補する定めがあり、この重複保険者との損害分担てん補は実務で既に定着していることが認められる。この約款は、前の保険者がまず損害をてん補し、その負担額が損害の全部をてん補するのに足らないときに限り、後の保険者がその不足分を負担するとする商法第六三二条、第六三三条、第六三四条の規定と牴触するものではあるが、この約款があることにより保険金詐欺などの犯罪が誘発されるとは思えないし、前記認定のような保険金額と保険料額の比較などにかんがみると、保険契約者に過重不当な負担を強制するものであるとも認められないので、右の約款は有効であると解するのが相当であり、この点の控訴人の見解は採用できない。

2  〈証拠〉を総合すると、本件保険につき、重複保険と本件保険の総保険金額が保険契約の目的の価額を超える場合の損害てん補額の算定は、約款第一七条で、被控訴人は重複保険を含む総保険金額が約款第一四条の規定による保険契約の目的の価額をこえるときは、本件保険金額の総保険金額に対する割合相当分の損害をてん補し、本件保険契約と約定を異にする重複保険契約(本件では、安田火災海上保険株式会社との価格協定保険がこれに当たる。)がある場合は、それぞれの保険契約につき他の保険契約がないものとして算出したてん補責任額の合計額が損害額を超えるときは、被控訴人は本件保険契約によるてん補責任額の右合計額に対する割合相当分の損害をてん補するとの定めがなされていることが認められる。控訴人や太郎が右約款を知らなかつたとしてもそれが有効であることに消長を及ぼさない。

3 前記一2の事実及び〈証拠〉を総合すると、本件建物の保険事故当時における再調達(再建築)適正評価価格(但し、基礎工事費や外構工事費を除く。)は、被控訴人の委嘱した有限会社内山鑑定事務所の鑑定人黒田裕之が一級建築士池田和夫の再築費見積等にもとづき作成した鑑定書(乙第一五号証)で九四一万一〇〇〇円(延面積あたりの単価一〇万円)と査定されているが、池田和夫作成の見積明細書(乙第二二号証)の方が内訳を具体的に示し、かつ地域及び時期の隔差修正率をも摘記して正確であり、それには保険事故発生当時の再築価格を一〇三〇万三四九六円と見積つているところ、そのうち不合理とみられるのは木工事中の造作材(乙第二二号証の六枚目の三段目に総材積三立方メートル、合計価格一六二万円と摘記分)だけで、爾余の見積は妥当適正であること、右造作材の見積は支柱に三寸角の桧を使うものとしているが、本件建物の支柱はすべて四寸角の内地桧材が使用されていたし、屋根が平瓦やスレート瓦葺でなく日本瓦本葺のため平瓦等葺の場合より重い屋根を支えるため、少なくとも三寸五分の内地桧材の支柱(約五メートルの中二階用支柱を含む)を使うとするべきであり、そうすると、右見積より価格で一〇〇万円を加えた数価に修正するのが相当であり、この増加した価格一〇〇万円を地域及び時期隔差率で、本件保険事故当時の現地価格に引き直すと、金八〇万円となる〈(1,000,000×0.92)÷1.15=80,000〉ので、これを前記見積合計価格に加算した一一一〇万円位が本件建物の再調達適正価格であると認められる。〈反証排斥略〉、なお右再建価格は控訴人方で火災の六か月前に完了した修改築経費と比較すると三〇〇万円程度多くなつただけであるが、この種中古家屋を修改築する場合の経費は新築費用よりも規模や外観のみばえ等からみて相当な割高となるものであるから、右の判断に消長を及ぼさず、他に右認定判断を動かすべき証拠はない。

4  そこで控訴人の被つた損害額と填補すべき金額について考察する。

〈証拠〉を総合し、かつ前記三23の算定方式によると、前記のごとく本件建物の再調達価格は約一一〇〇万円とみられるが、本判決理由一の1ないし3で説明したごとく本件建物は昭和四年ころ建築された古いものに控訴人が大改造を加えたもので、昭和四年からは既に五〇年という耐用年数を経過したものであるから改造に要した約八二〇万円をそのまま本件建物の価格とみることもできるが、当審証人佐藤誠の証言によると同証人は控訴人の依頼で本件建物の改造に当つたが当時建替えた方が廉く上つたのに控訴人の好みでそれ以上の費用を投じたものであることが認められるのと、当審証人竹内伸治の証言とそれにより成立の認められる甲第八号証は本件建物の残存率を被控訴人が依頼した内山鑑定事務所の鑑定書(乙第一一号証)のとおりとみると焼失時の価格は八〇一万八〇〇〇円と評価していることに鑑み乙一一号証の損害額五九二万八〇〇〇円というのは採用できず、当裁判所は以上諸般の事情を勘案し本件建物の焼失時の価格は金八〇〇万円を以て相当と認めるので、重複保険のない場合の損害補てん額は八〇〇万円とみるべぎところ、前記二保険会社との重複保険があり、そのうち安田火災海上保険株式会社との保険は本件保険及び東京海上火災保険株式会社との普通火災保険契約とは異なる価格協定特別約款付火災保険契約(再築価格が協定価格一五〇〇万円以下のときは、その再築価格全額を損害とみなしててん補する特約つき)であるから、被控訴人のてん補すべき金額は、火災保険普通保険約款一七条一項により損害額について被控訴人と東京海上火災保険株式会社の総保険金額二八〇〇万円に対する被控訴人の保険金額一三〇〇万円の割合によつて算出すると次のとおり三七一万四二八五円となるので被控訴人が控訴人に支払うべき金額はこの金額となる。

被控訴人は抗弁(二)において被控訴人の負担すべき金額は東京海上火災保険株式会社と同額と主張しているが前記約款からこの解釈はできない。

なお、前記二3で認定した右二保険者から控訴人へなされた各保険契約解除の告知が有効である場合には、控訴人は損害のうち被控訴人からの右三七一万四二八五円のてん補しか得られないが、それは控訴人の責にもとづく不利益であるからやむを得ないものである。

5  〈証拠〉を総合すると、控訴人は本件火災から一三日後の昭和五四年六月一三日ころ被控訴人に対し保険金を支払うよう催促し、同日、被控訴人の委嘱した鑑定人黒田裕之が現地を実査のうえ、同年九月一九日その損害査定を完了したことが認められるので、約款第二二条の定により被控訴人の損害てん補債務の履行期日は同年九月三〇日と認めるのが相当である。

四よつて、控訴人の本件請求は右てん補額三七一万四二八五円及びこれに対する履行期日の翌日である昭和五四年一〇月一日から完済まで商法所定年六分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるので認容するが、その余の請求を失当として棄却すべく、右と異なる原判決をその旨変更し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条前段、第八九条、第九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(菊地博 滝口功 川波利明)

目録

鳴門市瀬戸町明神字丸山一五三ノ一所在

木造モルタル瓦葺二階建住宅一棟

一三二平方メートル

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